結局のところ央路浩矢は、
鈴木羽那から逃れることはできない。
以下、シャニマス p-SSR【7日間の天使】鈴木羽那についての感想です。
再登場、央路浩矢
央路くんの羽那コミュ再登場。告知を見た時、嬉しさのあまり目眩がしました。
わたしは央路浩矢が好きです。
野心家で、プライドが高くて、刺々しくて、羽那がカメラの向こうに意識を向けるきっかけになったひと。彼女に外の世界の泳ぎ方を示したひと。
そしてなにより、央路浩矢と鈴木羽那、ふたりの間に感情のやりとりがあったことをとても愛しています。
彼の初登場は羽那のG.R.A.D.編でした。ドラマでW主演を務めることになった羽那と央路くん。演技経験もなく実力が不足している羽那に対し、歯に衣着せぬ若き俳優・央路くんは辛辣でした。
しかしアイドルと俳優であるふたりは注目を集め、熱愛疑惑が流れます。
ドラマの話題性のために沈黙する制作陣、見知らぬ人から投げかけられる心無い言葉、さらには央路側のマネージャーからの嫌味。追い詰められた羽那は、央路くんを傷つけたくない、だからもう話さない、と彼の前から走り去ってしまいます。
それまで綿雲のようにふわふわとしていた羽那の感情が大きく揺れ動いた大事なシーンであり、膠着していたふたりの関係が変化するシーンでもあります。そして央路くんは羽那を追いかけ、彼女を追い詰めていた事態をあっさりと解決してみせるのです。
わたしはこの羽那gradがとにかく大好きで、ふたりの再会が見たいな、とずっと願ってきました。
そんな中、突如としてやってきたキャスコレ羽那。
羽那は胸が苦しくなるほど可愛いし、央路くんは最高だし、とても素敵なコミュでした。
天使・天川ゆりと人間・植村志真として、再び恋愛ドラマで共演することとなった羽那と央路くん。再会シーンの時点でもうすでに嬉しかったのに、なんと央路くんが羽那に演技の指導をすることに……。
俺とこの人の演技力には天と地ほどの差がある
今回はそれを見せつける。そのためにオファーを受けた。
……のに、なんで俺は演技指導なんて敵に塩を送る真似を……
鈴木羽那【7日間の天使】「大事な人」 央路浩矢 台詞
「なんで俺は演技指導なんて」、そう思いながら、ドラマを成功させたい気持ちもあり、央路くんは羽那に指導してしまいます。あの日走り去る羽那を追いかけたように。不愉快でも、不可解でも。
ここが、央路浩矢の魅力的なところです。
野心家で、プライドが高くて、刺々しいのに、どこまでも作品に対して真摯で、最終的には羽那と関わる選択をしてしまうところ。
せっかくの初主演のドラマを、
イケメンとかアイドルとか そういうふうに消費されて終わりたくないんだよね
このドラマを、ちゃんとした作品にしたいんだよ
鈴木羽那 G.R.A.D.編「下手すぎ」央路浩矢 台詞
…………あんたはもっと考えた方がいい
カメラや画面の向こうにいる人のことを
客席にいる人のことを、仕事で自分を使う人のことを
考えて、利用しなよ
鈴木羽那 G.R.A.D.編「呆気ないもの」央路浩矢 台詞
上の2つは羽那と初めて共演した時の央路くんの言葉です。
この時から思っているのですが、央路くんはもっと羽那を切り捨てることもできるはずなんです。
あの日も、声を震わせる羽那を放っておくこともできた。
でも彼は追いかけた。追いかけてしまった。
狡猾になりきるには、青すぎる。
けれど、だからこそあの時の羽那は救われたし、カメラの向こう側へと意識を向けるきっかけになりました。
まだアイドルとしてもおぼつかない足取りだった羽那にとっての大きな出会い。それが央路浩矢でした。
こぼれた「好き」
ドラマでは、天使のゆりと、人間の志真は結ばれません。ゆりは自分の恋が成就しないことを理解しながら、それでも志真に想いを伝えます。
央路くんが羽那に指導をしたのは、このドラマの見せ場となる、ゆりの告白シーンです。
この時のやりとりが、もう、とんでもなく良くて……。
なかでも忘れられないのは、「好き」という台詞をどう表現すべきか、央路くんが言った言葉です。
もっとどうしようもなく、
気持ちが口からこぼれたみたいに
鈴木羽那【7日間の天使】「大事な人」 央路浩矢 台詞
ハッとするほど美しい表現でした。
央路くん好きとしては、その若さでそんなこと言えちゃうんだ~…!とニヤつきたい気持ちがちょっとあるのですが、それ以上に、この指導からは俳優・央路浩矢のこれまで努力が伺えます。
ただそこに書かれたことばをそれっぽく言うのではない。その役の心情や背景を考えて、そこから表現が生まれる。
央路浩矢という一人の俳優がこの台本の「好き」という台詞から見出したのは、「どうしようもなく切実な告白」だったわけです。
その解釈を、こんなふうに美しく表してみせる央路浩矢16歳、あまりにも素晴らしかった……。
この恋は幸福か
ゆりは志真の記憶を消して、彼の前から姿を消します。ゆりの記憶を失った志真は、なにを失くしたのかもわからぬまま涙を流し、物語は幕を閉じる。シャニPはこの結末を「切ない」と言います。
けれど羽那の見方は違いました。
あはっ、そうかな?
志真くんはこれからも幸せだと思うよ。
ゆりのことを覚えてたら寂しいかもしれないけど、記憶がないんだもん
鈴木羽那【7日間の天使】「あたしは天使じゃないから」 鈴木羽那 台詞
何かを失っても、失ったことがわからなければ、何も変わらず幸せのまま。
鈴木羽那の透明すぎる世界観。
「ゆりのことを覚えてたら寂しいかもしれないけど」、というのも羽那っぽいというか……このドラマで描かれた喪失は「寂しい」なんてことばに収まるような痛みではないのでは、と思うけれど、羽那はサラッと流してるんですよね。
そんな彼女の「わからなさ」がまたひとつわかった気がして、強く印象に残るシーンでした。やはり劇中劇はいいですね。それぞれのアイドルの考え方を知ることができる。もっと知りたいよ、羽那のこと。
羽那のコミュを読むときはいつも、雲を掴むような感覚がします。純真で、可愛くて、こちらを慕ってくれていて……。けれど、どんなに話しても鈴木羽那というひとの中心を「捉えた」という感覚があまりない。
大きな空洞や欠けによるものというより、だだひたすら思うままに生きているのだという気がします。
なので、さきほどのドラマの結末への解釈についても、彼女自身の哲学に基づいているというよりは、ただそう思った、という感じなのかな…と思います。
実際、LPでは『羽那の掴みどころがないのは羽那自身が今まで深く考える必要がなかったから』、ということがわかったし……。
ソロ曲も、彼女の意志の表れというよりは、周囲が彼女に対してかける期待や願いでもあるのだな、と【From You】*1のコミュを読んで思ったり。(LPの感想は以前書いたのですが、その後に【From You】を読んでソロ曲に関しての感じ方が少し変わったので、このあたりはまた自分の中でまとめておきたいところ。)
番宣インタビューとか、どうやって答えたんだ、羽那……。
読み進めながら途中途中で、かねてより央路くんの存在を頼もしく思っているプロデューサーとしての自分と、羽那を可愛く思っているファンの自分と、シャニPの成長を応援しているプレイヤーの自分とで、心が3つくらいに裂けそうになったりしたのも面白い体験でした。
羽那は相変わらず何をどこまで考えているのかわからなくてハラハラするし、演技指導のシーンでは思わず笑っちゃいそうになるくらい絶妙なタイミングでシャニPが話に入ってくる。もう少しだけ央路くんの解釈と演技プランの組み立て方を聞いていたかった気持ちもあってかなり身悶えました。心ちぎれる。この不思議な体験はなかなか味わえない。央路くんが関係するコミュは少女漫画のフォーマットを感じるのが特徴的ですね。
今回の『7日間の天使』では、「叶わぬ恋だと知りながらも告白するゆり」と、「大事な人=プロデューサーを思いながら告白シーンの台詞を言ってみる羽那」に重なりを感じたりもして、やっぱり劇中劇っていいなぁと思いました。もっとも、羽那の思いの深度はわからないし、「あたしは天使じゃない」のでイコールにはならないのですが。
まなざしという愛
他者を見つめ続けるというのはひとつの愛だ。…と、わたしは思っています。
見つめ続けることは、思い続けることだから。
近くても、離れていても。
このあたり、まだすべてをうまく書けないのですが…….
央路くんのまなざしは決して、やわらかで居心地のいいものではないでしょう。でも、棘だけじゃないな、と思うのです。諦めと、疑問と、許容が含まれた、複雑なまなざしがそこにはある。そんな気がしています。
そのまなざしは羽那をたすけているし、いつか彼のお芝居に活きる日もきっとくるはず。ひとつの作品を作り上げるために交差した時間は、確実にふたりの人生に消えることのない影響を残した。
それって愛だな、と思うのです。
ふたりが演じたドラマの愛とは少しちがう、なんというか、もっとこう、大きな愛がゆるやかな川のように横たわるような……
本当に、羽那は良い出会いをしたと思います。
央路くんには、人間鈴木羽那をずっと観測し続けてほしい。
星が星を眺めるように。
さて、主演ふたりのお芝居は大好評で、央路くんのリベンジは失敗に終わりました。SNSにも称賛の声が書き込まれています。
このふたりが持つ話題性にはまだまだ付加価値があり、央路くん自身のリベンジもまだ果たせていない。
ならば、これからまた何度だって彼は彼女と出会い、そのたびに不本意ながら助けてしまうのでしょう。
結局のところ央路浩矢は、
鈴木羽那という不可思議から逃れることはできないのです。
澱みも悪意もある世界で、この縁はいつまでも続いていてほしいな。
*1:p-SSR 鈴木羽那【From you】 マイコレ羽那










