「Tomorrow Gazer」を聴いてほしい

 

天ヶ瀬冬馬のソロ曲「Tomorrow Gazer」。
961プロダクション所属時代に発表された「BANG×BANG」、現所属事務所315プロダクションで発表された「HAPPY×HAPPYミーティング」に続き3曲目となったこの曲。

天ヶ瀬冬馬って繊細だよね……と事あるごとにろくろを回しながら語っていたのですが、今回の「Tomorrow Gazer」はその繊細さが前面に打ち出された曲であったと思います。

試聴動画が公開された直後、自身の心の内を赤裸々に明かすような歌詞と、爽やかでありながら抒情的なメロディーに衝撃を受け、スライドを作ったりもしていました。

天ヶ瀬冬馬は心に傷を負っている、ということはEpisode of Jupiterにて第三者から語られていましたが、「Tomorrow Gazer」を聴いたあとでは、冬馬くんの傷についての見方が変わりました。

というのも、いままで冬馬くんの傷というのは黒井社長とのあれこれに起因するものだと考えていたのですが、それだけではなくて、もっとたくさんの場所で傷ついてきたのだなということが歌詞から感じられるのです。

信じていた人に裏切られた悲しみだけではなくて、世間からの心無い言葉、憶測や邪推によって勝手に紡がれてゆくストーリー。そういうものがひとつひとつ傷になって、雑誌に載っていたことばに心がひっかかたり、らしくない顔をしたりしていたのかな、と。

その身一つで大勢の人の前に立つ芸能の世界は、とても孤独だと思います。

ステージの上で見せる姿がすべてではない。照明を当てれば背後に大きな影ができるように、きらきらしたものばかりでは決してない。自身の価値を品定めされる日々のなか、その失墜を今か今かと望んでいる人もいて、油断をすれば足元をすくわれる。その苦しみを誰かと共有することすら、時としてゴシップの標的になってしまうこともあります。

そんな孤独な世界で17歳の少年が傷ついて落ち込んでいるのだと思うと、もう胸が痛くて。
わたしはゲームのプレイヤー(プロデューサー)として、冬馬くんのそばには北斗や翔太という力強い味方――その孤独に寄り添い、一緒に立ち向かってくれる存在がいることを知っていますが、裏側を知ることのできないファンとしてこの曲を聴いたならば、あぁこれってあの時のことを言っているのかなとあれこれ考えこんだり、あの時もっと力になれていたら……なんて勘違いな悲しみとともに、しばらく寝込んでいたに違いありません。それくらいに衝撃が大きかったです。

ひょっとして作中世界では作詞家と共同もしくは自身で作詞しているのではと思うほどに心の内を歌っているので、この曲は未来の、29歳の天ヶ瀬冬馬が歌っている光景が浮かびます。

モバエムなどの各種媒体でさまざまな経験を経た冬馬くんが、輝きの向こう側の地平で歌う曲。
積み重ねてきた日々や受け取ってきた愛があるからこそ歌える曲。

「傷」のことについて、もうひとつ。

今回の曲を聴いて、冬馬くんの傷口は塞がっているけれど、その傷跡や痛みが消えることはこの先ずっとないのだろうなぁと思いました。そしてその傷は、きっとこれからも増えていく。それでも前に進んでいける理由がここにあると歌う強さと、彼を光へと向かわせるやさしい愛たち。

もう何度も思っていることですが、天ヶ瀬冬馬伊集院北斗御手洗翔太がいて本当に良かった。そして、あの日彼の手を引いたプロデューサーも。曲の最後の「君」に、ハッとしたプロデューサーさんは多いんじゃないかな……。

いちファンとして、たくさんのプロデューサーさんに「Tomorrow Gazer」を聴いてほしいなと思っています。冬馬くんがこれほどまでに心境を歌った曲は今までになかったので……この複雑さと繊細さ、ぜひ知ってほしい……!!

youtu.be

(あと、これはとても特殊な鑑賞の仕方だとは思うのですが、この曲を聴いているとアイマス2のときの思い出がぐさぐさと突き刺さるんです。そうだ、わたしは(間接的に)一度この子のいるグループを解散に追いやったのだ……という気持ちがぐわーっと心に襲い掛かってきて、かけめぐる走馬灯とまぼろしの嵐。プロデューサーになったりファンになったり他事務所のプロデューサーになったり、忙しいですね……。)