感想: Jupiter 〜 THE IDOLM@STER 〜

『Jupiter 〜 THE IDOLM@STER 〜 』(ミユキ蜜蜂、白泉社)の感想です。

 

Kindle版で読みました。961プロ所属時から961プロを辞めるまでを描いた1話から4話、冬馬の961プロ所属のきっかけを描いた5話、事務所移籍後を描いた6話から8話+書き下ろし小説が収録されています。

最っ高でした。読みながら何度もうるっときたし、心がじーんと震えてページをめくる手が何度も止まった。 移籍する事務所が315プロダクションではないなど SideM とは少しお話は異なりますが、変わらず格好良くて可愛くて、最強に仲良しな3人がいました。

 

わたしがいちばんグッときたのは、3人の関係性の描かれ方。3人でなら、これからも3人で、と冬馬も北斗も翔太も「この3人であること」をとても大切にしていて、胸が熱くなりました。6話では、ライブ前に足を怪我してしまった冬馬が、それでもファンの気持ちに応えるためにバク転をして危うく転びかけるのですが、そこを北斗と翔太がさりげなくフォロー。その後の冬馬の笑顔といったら!この3人の、こういうところが大好きだ〜〜!

冬馬がトップを目指して一生懸命走っていって、隣に立つ北斗と翔太は冬馬の一生懸命に応えてくれる。その都度、冬馬が新鮮な驚きと嬉しさを感じているところに、愛おしさでいっぱいになりました。

「一生懸命」に応えてくれるひとがいること。うまく言えない気持ちに気付いてくれるひとがいること。冬馬はどれほど嬉しかっただろう。

「アイドル天ヶ瀬冬馬」として常にストイックにトップアイドルへの道を突き進む冬馬ですが、5話では、黒井社長に出会うまでこれといった夢や目標があったわけではなかったことが明かされます。何となくの日々を過ごしていたとき、友達に焚きつけられて出場したボーカルコンテストでグランプリを受賞し、審査員の一人だった黒井社長にスカウトされたことがすべての始まり。

サインライトイルミネーションの感想*1では翔太にとっての黒井社長の存在の大きさについて触れましたが、冬馬にとっても黒井社長の存在は大きい。なんたって、「アイドル天ヶ瀬冬馬」の価値をいちばん最初に見出したのが黒井社長なのだから。

まだ自分も知らなかったような価値を、魅力を見出してくれて、頂点に立つ価値があるのだと断言してくれた。

やりたいことも、なりたいものもない世界の中から、見つけてくれた。

トップになると冬馬が黒井社長から言われたとき空に稲妻が走りますが、まさに雷に打たれたような衝撃だったのだろうなと思いました。

そしてそして、ライブ以外のJupiterのお仕事もたくさん見られて幸せでした〜。CMや雑誌、ドラマなど多彩に活躍する様子を見ると、彼らはこんな風にアイドルとして生きているのだなぁとわかって、とても嬉しくなります。彼らに魅了されるファンの姿がたくさん描かれていたのもすっっごくよかった!写真集にきゃあきゃあ盛り上がったり、ドラマのシーンを巻き戻し・一時停止で観たり*2、終始楽しそうなファンの姿に、いいよねJupiter……わかる、わかるよ……と深く頷きつつ、うらやまし〜とも思いました。わたしもそのドラマが観たい。

とくにハワイで撮影された写真集には、わたしも欲しいー!と地団駄を踏んでしまう。「アイドルと海」、最高の組み合わせ。砂浜に寝そべる冬馬なんてもう、夢に見た姿……こういうシチュエーションの写真ってこう、素肌に砂つぶが付いているのにすら美しさを感じてしまうみたいなところがあるじゃないですか?!あるよね?!ある!!とひとり大興奮しました。巻末には Jupiter IN HAWAII としてハワイで撮影された写真が描かれていて、写真集を購入したファンの気持ちが味わえます。贅沢。

ドラマの撮影中、キスシーンに苦戦する冬馬のために北斗が演出の変更を監督に提案したことをバッチリ見抜いている翔太もよかった〜!北斗と翔太の間にある、年の差を超えた、静かで確かな信頼。ほんっとにたまらなかったです……!!(キスシーンや演出変更後のシーンでの赤面冬馬もたまらなかった)前述した6話でのフォローも、事前に北斗と翔太のふたりで、冬馬君絶対バク転しちゃうよね、と相談していたのだろうな……アツい……。

書き下ろし小説「カルボナーラ会議〜天ヶ瀬冬馬の憂鬱な1日〜」では961プロ退社後の3人が描かれています。心身の疲労からレッスン中に眠ってしまい、そのまま目を覚まさない冬馬を、北斗の部屋に連れ帰る北斗と翔太のふたり。目が覚めて、そこが北斗の部屋であることに気づいた冬馬は、961プロを辞めた直後に訪れたときの北斗の部屋はもっと冷たい印象だったと思い返します。

「冷たい」印象だった北斗の部屋。リビングの真ん中にグランドピアノが置かれたその部屋は、北斗の心を表しているのかなと思いました。冷えた心の真ん中に鎮座するかつての夢。今はそこと同じ場所に、あたらしい夢と、その夢を一緒に見る仲間がいて、冷え切っていた心にぬくもりが生まれるように、部屋の印象も明るくなっている。良かったねぇ北斗……良かったなぁ……とじーんとしました。

目が覚めてからも黒井社長の言葉が頭の中を巡り動けないでいる冬馬にやさしく言葉をかける北斗と、北斗の肩を借りてベッドから起き上がる冬馬の場面もよかったです……。冬馬にとって北斗(そして翔太)は精神的にも寄りかかれる仲間なのだな…とホッとした。翔太の言う通り、冬馬は「繊細」だから。

コミック本編も書き下ろし小説も冬馬を主人公に据えているので、冬馬の不安や焦りが丁寧に描かれていて、こうやって冬馬は悩んできたんだなぁとしみじみ感じました。

そうそう、冬馬のお父さんと翔太の2番目のお姉さん容姿がチラリと出てくるのにも「おっ!」となりました。お姉さん、かわいい…!*3新事務所のマネージャー小嶋ちゃんも、別の意味で可愛くってお気に入りです。

ほかにも、Jupiterを上手く撮るなら自分がいちばんだと自負している翔太や、茶化しているようで冬馬の言葉をちゃんと聴いている北斗とか、思わず好きだーっ!と叫びたくなるような場面がたくさんあって……読めて良かったです。しあわせ。

 

*1:モバエムのほうのお話

*2:ここの場面、母娘でドラマの冬馬に熱狂していて、アイドル天ヶ瀬冬馬は世代を超えて愛されているんだな〜と思いました。冬馬くんは絶対年上キラーな面があると思う。

*3:少し異なりますがモバエムのほうでも出てきます。(雑誌 Jupiter通常号・翔太「トクベツ!前編」)モバエムでは黒髪のお姉さんが2番目なのかな?