感想:Side Memories (北斗、翔太、冬馬)

Side Memoriesの、伊集院北斗編・御手洗翔太編・天ヶ瀬冬馬編の感想です。

普段のエントリより長くなってしまったので、簡単ですが目次を設けています(目次のとこクリックするとそれぞれの感想に飛べます)。

 

 

北斗編

 北斗のサイメモに登場するのは、かつてのモデル仲間たちと、ピアノのコンクールを控えた女性。ピアニストの夢をあきらめたこと、暇つぶしにモデルとして活動していたこと。過去の北斗からの変化が描かれているのが北斗のサイメモだったと思います。クリスマスライブ2014、執事たちとの優雅な日々、最恐怪奇譚、ICE KINGDOM LIVE …と経てきた北斗の変化の総まとめのような、一区切りのような、そんな感じがしました。

モデルをやっていた頃の仲間たちに、アイドルに本気で取り組んでいることを分かってもらえない北斗。さみしい思いをしつつ、自身のパブリックイメージ的に仕方がないと割り切れるのは、さすがプロダクションを離れて自己プロデュースでやってきたアイドルなだけあるなあと思いました。世間からどう見られているのかをちゃんと把握している。

このサイメモでとくに好きなのは、コンクールを控えた女性とのやりとりのなかで出てきた「軸が1つだけだと、折れた時にどうしたらいいのかわからなくなる。」という北斗の言葉*1。けがをした時の北斗の心の痛みを感じます。そして、伊集院北斗の今の軸がJupiterだとして、もう1つの軸はなんだろう、と読みながらずっと考えていて。

全話読んで、それがプロデューサーである、ということなのかなと思いました。なんていうか北斗は、Jupiterという軸を失ったら立ち直れなさそうに感じるんですよね……そうさせない、そもそも失わせないためにプロデューサーという存在があるのかなーって。

思えばEoJでの北斗は余裕がなさそうな顔をしていたこともあったから、冬馬と翔太にカッコイイ自分を見せつつプロデューサーに悩みを聞いてもらいつつ……という"今"は北斗にとって、見せたい自分・なりたい自分であれる環境なのかも。責任重大だ!

 冬馬と一緒にいることで情熱を取り戻せるかもしれないと思った、と北斗が話すお話のサブタイトルが『伊集院北斗*2。ここにシビれましたー…!"「天ヶ瀬冬馬」という存在を抜きにして、伊集院北斗というひとは語れない"ということなんだなーと胸が熱い。やはりユニット制はいい。大好きだ。落ち込んだ北斗に冬馬から晩ご飯のお誘いの連絡が入る流れもよかった~*3。このタイミングでの連絡はかなり北斗の心を軽くしただろうなと感じました。心がちょっと沈んだとき、そういう日常の安心感は助けになると思うから。

あと、北斗の実家が音楽一家ということにも触れられましたね。モバエムでははじめて……かな?(自信ない)家族関係の情報、もっと知りたい……!

 

翔太編

 翔太のサイメモに登場するのは、海外で活躍するプロダンサー「ダンスキング」。そのダンスキングとのダンスバトルが描かれます。

 誰にも負けないと自負するダンスでの対決、しかも相手は有名なプロダンサーとあって、翔太は気合満々で挑むも圧倒的な実力差を前に敗北。収録後の楽屋では口数少なく早々に帰宅してしまいます。

ここですごいのは、翔太が弱冠14歳でありながら、ダンスキングに敗れた後も、収録中にふてくされたそぶりを見せないところ。悔しい気持ちを抱えつつ、きっちり番組収録をこなしてるんですよね*4。ダンスキングはプロのダンサーだけれど、翔太はプロのアイドルなわけです。すごい14歳だなあと思います。

さて、ダンスキングへの敗北後、すっかり意気消沈したかに見えた翔太ですが、実際はその逆で、ダンスの自主練習に励んでいました。ダンスキングへのリベンジをお願いするときの翔太がとてもズルくって可愛い*5。翔太サイメモ、御手洗翔太の魅力が余すところなく詰まってます!

わたしがこのサイメモでとくに好きなところは、それまで翔太を「Cuteボーイ」と呼んでいたダンスキングが、リベンジ戦を終えた後、「素晴らしいダンサー、ショータ」と言うところ*6。ダンスキングに御手洗翔太がダンサーとして認められた証だ……。

翔太がアイドルの世界ではなくダンスの世界に(ユニットメンバー以外の)ライバルを見つけた、というのもすごくアツい。翔太の世界が広がった瞬間だと思うし、翔太なら、アイドルの世界の外で得たものをアイドルの世界に持ち帰ってくる気がします。

つまんない、めんどくさい、退屈。翔太が発する言葉のなかでしばしば登場するワードですが、わたしはこのワードの意味を正しく受け取れていなかったのかもしれない。サイメモを読むまで、モバのライブ継続時の台詞は「出来ないくらいに難しいことは楽しくない、めんどくさい、だからやりたくない」という意味なのかなと思っていました。でも、今回のサイメモではそうじゃない。出来ない悔しさを抱えて、出来るようになるまでひたすらに練習していた。それこそ、あの「冬馬君」のように、まっすぐに。翔太って冬馬の前では世話の焼ける子だけど、基本的に真面目で大人なんですよね。

今までたくさん翔太に関するテキストを読んできたけれど、まだまだ御手洗翔太の「ほんとうのところ」をつかめていないような気がします……。翔太、むずかしい!好き!!

 

冬馬編

 冬馬のサイメモに登場するのは、元961プロ所属アイドル。しかも961在籍時代のJupiterに憧れてアイドルを志したひと(サイメモ中では「目つきの悪いアイドル」との表記のため、以下「目つきの悪いアイドル君」とします)。北斗が天ヶ瀬冬馬という存在に出会うことで前に進むことができた者であるのに対して、目つきの悪いアイドル君は天ヶ瀬冬馬への憧れに身を焼かれた者なのだと思います。

アイドルがいろんなお題に沿って対決するトーナメント形式の番組に出演する冬馬……に収録前から突っかかってくるのが目つきの悪いアイドル君。このあたりの感じの悪さは、かつて765プロのアイドルたちを目の敵にしていた冬馬を意識して描かれていると思います。かつての冬馬と違うのは、冬馬の台本に小細工をしてお題を差し替えるという、めーちゃめちゃせこい手口で妨害に及んでくるところ。でも、ちゃんと憎めなさも残されてるんですよね、彼……(冬馬に突っかかってくる内容がこどもっぽいし、憧れてるのが随所に滲み出てるし、わざわざ楽屋まで走って突っかかりに来るところなんてもういっそ可愛い)。

冬馬サイメモは冬馬目線というより、 目つきの悪いアイドル君目線で読んじゃいました。くるしいほどに憧れている相手を陥れようとあれこれしてもうまくいかず、陥れようとしているのに憧れの相手はまっすぐにこちらを見て語り掛けてくるし、最後はお互いの持ち歌を「一緒に」歌わなきゃいけないなんて、感情がめちゃくちゃになる……!

それでも最終対決に出てきたのは、やっぱりアイドルをあきらめられなかったからで、彼もプロのアイドルであるからなのだろうな……。

ムビマス*7での、本来ならうれしくてしあわせなもののはずの「憧れ」や「好意」に傷ついてしまう/傷つけてしまうという春香と可奈の描き方が強く心に残っていて、今回の冬馬と彼の関係にも似たようなものを感じました(もちろん、可奈は目つきの悪いアイドル君のように相手を陥れようなんてしていないし、ふたりの「憧れ」の気持ちの変質の仕方は似てはいるけど発露の仕方が違う)。

 最終対決の時、目つきの悪いアイドル君は現在の冬馬に対して、自分の憧れた961プロ時代の天ヶ瀬冬馬とは違う(のに、目が離せない、今まで以上に魅力的なアイドルになっている)と心のなかで思う*8のですが、そのシーンを読んで、アニエム第9話で翔太が言った、冬馬君は大事なところはずっと変わらない、という言葉を思い出しました。目つきの悪いアイドル君が言うとおり、スタンスやパフォーマンス力は経験の数だけ変化・成長していると思うし、そういう面では過去と現在の変化はあるけれど、根っこのところは変わっていないということに気が付けなかったからこそ、最終話で「(冬馬のおかげで)最後の最後に、本当のアイドルになれた」と言ったのかな、と思います。冬馬は「あいつはアイドルをやめない気がする」とプロデューサに言うけれど、わたしは「ああ、きっとこれを最後に、アイドルやめちゃうんだろうなぁ」と感じたんですよね……。

感じたんですよ。

でも、

やめてなかった!

冬馬サイメモ公開後の「事務所での1コマ」*9にて、Jupiter内で目つきの悪いアイドル君の話題が出たのです!アイドル、やめてなかった!!天ヶ瀬冬馬という存在によって心に火を灯され、一度はその憧れに身を焼かれながら、灯された情熱の火を絶やすことなく前に進んでいたんだな……そんな目つきの悪いアイドル君が、いつかは誰かの心に火を灯すことがあるのかもしれないと思うと、なんとも胸が熱いです。ひとを魅了して、影響を与えていく存在であること。それこそがアイドルであり、天ヶ瀬冬馬そのひとなのかもしれない。

 

わー!なんだか長くなっちゃいました!

うまくまとめられなかったけれど、今回はここまで!サイメモは心の付箋というアイテムがないと読み進めるのはちょっと時間がかかるけれど、でもゼリーを消費しながら特別出張営業を続けることで少しずつ開放することができる*10ので、ぜひぜひ読んでみてほしいです。

 

*1:第6話

*2:第9話

*3:第4話

*4:第5話

*5:第8話

*6:最終話

*7:劇場版『THE IDOLM@STER 輝きの向こう側へ!』2014年公開

*8:第9話

*9:2019年6月27日~2019年7月9日の5日目「戦いは続く」

*10:通常営業を進めてまったり開放することもできます。