感想:第5回DOS「祝祭の空に約束を」

第5回 315 DRAMA ON ST@GE「祝祭の空に約束を」の感想です。

 

 

北斗のチェンジ後がすごいぞ

315プロダクションの劇場公演、第5回目はJupiterとF-LAGSが絵本原作の舞台に出演します。

設定画が公開され、カード絵のシルエットが公開され……そのたびにどんなお話になるのか?北斗のヘアアレンジだ!などとドキドキしていたのですが、北斗のチェンジ後を見て、思いっきり心を乱されましたね……。北斗(死神)だけジャンルがダークファンタジーでは……?

 

このショットのすごいところは、いかにも妖しい雰囲気はもちろんのこと、伊集院北斗(が演じている役)が天ヶ瀬冬馬(が演じている役)の目を塞いでいる、というところにあると思います。

いままでのイベントストーリーやカードのセリフから、北斗にとって冬馬は、夢や目標に向かう情熱を思い出させてくれた存在であることがわかります。いうなれば、希望の光のような存在。その冬馬の目を塞いで光を奪っているわけです、ほかならぬ北斗が。

役柄上ではあるのですが、メタ的なものを感じてしまい思わずスマホ片手に呻き声を上げそうになりました。あの死神のシルエット発表から、まさか「2人いる」とはだれが想像できましょうか。シルエットが発表されたからといって油断してはならない。学びました。

 

開幕同月のUPC報酬がすごいぞ

今回はもうひとつ、心を乱されることがありました。
このタイミングでJupiter 6月UPC報酬が WILD BOYS*1のカードなのです。
この北斗チェンジ後がお披露目された同月のUPC報酬が WILD BOYS 、それってつまりどういうことなんですか……。

 

 暗転後もすごいぞ

北斗チェンジ後とUPC報酬に混乱しつつも、劇中劇部分を読んでみると、天使(演:涼)も悪魔(演:翔太)もなんだかんだとってもいい子で(最後はアーダの魂を消滅させることに反対していたし)、カルメロ(演:一希)はダリオ(演:大吾)という友を得て、思っていた以上に明るく前向きなラストでした。ストーリー26で舞台が暗転するまでは。

守護精霊を名乗っていたトマス(演:冬馬)の正体は、カルメロがもう一度会いたいと願っていた友人・アーダでした。そしてアーダを守護精霊というかたちで生者の世界に留まれるようにしたのは、死神ホアキン(演:北斗)でした。

どうして自分にここまでしてくれたのか、そんなアーダの問いかけにホアキンはこう答えます。

昔、似たようなことがあった……
とだけ、言っておきましょうか。

ストーリー26

……いやいやいや!もっと語って!!

この一言で、ラストの印象がガラッと変わりました。似たようなこと、というのはカルメロとアーダの関係性を指すのか、それは死神の実体験なのか、はたまた誰かの体験を見聞きしたのか。そしてそれが今回のホアキンの行動にどのように関係しているのか。最後に大きな謎を残していったホアキン。詳細な人物設定が知りたい~~!エピソードゼロとか……観たい……!

 

劇中劇からみるJupiter

315 DRAMA ON ST@GEという企画はLIVE ON ST@GE! からモバエムに引き継がれた企画ですが、モバエムでの劇中劇は「演じるユニットのifの姿」として読まれることが多く、今回もそういった視点で読んでみると、ホアキンの狡さや、友人のために死神と約束を交わしてしまうアーダの献身性にはそれぞれ演じ手である北斗と冬馬を彷彿とさせる部分があったなと思います。

今回の劇中劇を踏まえてJupiterというユニットについて考えてみると、北斗と冬馬のふたりきりだと、北斗の臆病な狡さとか、冬馬の無意識の献身や自己犠牲が極まってしまう可能性があって、極まった結果(if)が今回の物語や WILD BOYS なのかな、と思います。普段は翔太がそれを取りなしているけれど、そんな翔太も北斗と冬馬がいないと、退屈で、つまらなくなってしまう。Jupiterは、お互いの光でお互いの影を照らしあうような、そういうつながりがあるよなあとあらためて思いました。

あと、守護精霊としてカルメロのそばにずっと寄り添ってきたアーダだけれど、きっとそれと同じだけ、ホアキンもアーダのことを(約束を守っているか)見ていたんですよね。そしてカルメロたちの前に姿を表して、素知らぬふりをしていた……。そんなところに、LIVE ON ST@GE!のユニットストーリーで「待ち合わせの場所に早く着いたので近くの喫茶店から冬馬を眺めて待っていた北斗」を思い出しました。

 

 ホアキンとアーダ(トマス)

ここからはもう感想というよりは妄想なのですが……、

ホアキンはどうしてアーダの願いを叶えたのか。やはりラストの「昔、似たようなことが……」という言葉が忘れられません。そして相関図でホアキンからアーダに伸びていた「?」の関係性。

もし「似たようなこと」がホアキンの実体験ならば、ホアキンはもともと人間で、大切なひとを亡くした、もしくは大切なひとを遺して亡くなってしまった過去があるということです。そして、偶然出会ったアーダに過去の自分を重ね、願いをかなえてやりたくなった、といったところでしょうか。

実はアーダがホアキンの友人の生まれ変わり、という説も大好きです。

ここでもうひとつ妄想。物語の中で「アーダはどうして亡くなってしまったのか?」という部分は描かれません。そして、ホアキンは生きている人間の魂に干渉することができます*2。このふたつを考えたとき、ホアキンが、生きているアーダの魂に干渉したのでは?と思ったり……。これはいちばんこわい。もしそうであったなら、この物語は最初から最後まで、ホアキンによって仕組まれたものになります。

いやいやまさか、と思いつつ、自分の中で否定しきれないのは、ホアキンがリコとシモンを窘めつつも、アーダに正体を明かさせる呼び水となるような発言を繰り返しているからなのです。

こら、話は最後まで聞きなさい。
わたしは『カルメロくんが望まないのに』と言ったんですよ。
もし、カルメロくんが望むなら…彼の魂が死後の世界に来た時の行く先を、決めてあげる分にはよいでしょう。

ストーリー14

こら、勝手に決めつけてはいけません。
しかし…カルメロくんには、何か願いがある様子ですね。

ストーリー16

 アーダは死後の世界に行った後、約束を破った(カルメロに正体を明かした)罰として生者の世界を訪れることはできません。生まれ変わることもできないのだとしたら、そしてそれがホアキンの目的なのだとしたら…………。

 

真実やいかに……。こんなにも想像や妄想を膨らませているのはすべてホアキンのせいです。6月UPC報酬が WILD BOYS なのは、今回のホアキンとアーダの関係性にグッと来た方の誘導の意味もあるのかな?わたしはぜひおすすめしたいです。

 

 

*1:モバエムのイベント「WILD BOYS 〜激情の拳〜」JupiterとF-LAGSがミュージカルに出演するお話。なんとフルボイス、そしてtheater 315 ではもっと長く劇中劇のストーリーを読むことができます。

*2:カルメロとダリオを死後の世界へ(一時的ではありますが)行けるようにしたり、カルメロの魂を死後の世界に連れて行ってもいいとカルメロに持ちかけてみたりしています。