みなさーん!アイドルマスターシリーズ コンセプトムービー2021『VOY@GER』はもう観ましたかーっ?!
観て!!
2021年8月25日、アイドルマスターシリーズのコンセプトムービー『VOY@GER』が公開されました。7月のアイマス16周年記念配信でショートVer.がお披露目されてから1か月、ずっとずっと楽しみでした……!!
どきどきしながらカウントダウン映像*1を見守り、
そして、
圧倒されました。
「ゆめ」と「うつつ」のまんなかに
冒頭、白い空間に天海春香は「現れ」ます。まるでデータを出力しているかのように、きわめてデジタルな演出で。
こんなことを言うのは野暮中の野暮なのですが、わたしは、アイドルマスターのスタッフが、春香をはじめとしたアイドルたちのことを「アイドル」と呼んでいるのが好きです。
当然ながら、天海春香は、そして天ヶ瀬冬馬も、芹沢あさひだって、ゲームのなかのキャラクターです。
彼らはお話のなかのひと。
現実の世界には、いないのです。
けれどアイドルマスターのスタッフは、天海春香を、天ヶ瀬冬馬を、芹沢あさひを、「キャラクター」とは言わず、「アイドル」と呼びます。
だから冒頭の演出には新鮮さを感じました。これまでのアイマスは、実在性や生っぽさというものを大事にしているように感じていたからです。
それが16周年を迎えた年のコンセプトムービーで、非実在性やデジタルの世界を前面に出してくるとは!しびれます。
けれどこれは、とんでもない「実在性」のための仕掛けだったのです。
アイドルたちが歌い踊る無機質な白い空間は、電脳空間になり、やがてビルが立ち並ぶ夜空へと変わります。そしてラストへ向けて波のように沸き立つ、色とりどりのサイリウムの光たち。彼らを取り巻く世界はぴかぴかキラキラと輝きを増していき、そのままラストを迎えるかと思いきや、次第に光が一つ、また一つと消え、最後には、天海春香だけが一人取り残されるかのように、ぽつんと残ります。
そしてまた、白い空間。
カメラが引いて、それまで白い「空間」だと思っていたのは、撮影セットであったことがわかります*2。複数台のカメラに囲まれてセットに立つ春香は、ぺこりとおじぎをして、こてん、と首を傾けて静かに微笑むのです。カメラの向こうの「プロデューサー」――このムービーを観ている「わたし」に向かって。
このラストシーンを観て、「VOY@GER、なんてすごいムービーなんだ……!」と興奮に震えました。
アイドルマスターシリーズには、それぞれのアイドルを演じている役者さんたちが実際に歌って踊るライブがあります。わたしは、アイマスのライブは、役者さんが演じる役柄と役者さん本人とを行ったり来たりする、「ゆめ」と「うつつ」の真ん中にあるところが魅力のひとつだと思っているのですが、今回のコンセプトムービーで似たようなことを感じました。
仮想の世界と、紛れもない実体。
画面の中と、カメラの向こう側。
ラストの春香の微笑みが、おはなしの世界と現実の境目をゆらゆらと溶かしてゆく。
ゆめとうつつのまんなかに、
アイドルが、
天海春香が立っている。
アイマスシリーズのコンセプトムービーとして、
そして「アイドルもの」の作品として、本当に面白い映像作品だと思います。
アイドルマスターを知らない方にも、観てほしい。
素晴らしいコンセプトムービーでした。
以下、余談
わたしは春香の「ちょっとさみしい」ところが好きです。笑顔が可愛くて、元気いっぱいで、でもちょっとさみしい。あのラストシーンにはそんな春香の魅力がつまっていて、思わず叫びだしそうになりました。
だってだって、16周年のコンセプトムービーなのに、最後に春香は一言も発することなく、靴音と衣擦れの音で終わるのです。
この何とも言えぬ寂寞感と、それがもたらす余韻。
あらためて、すごいよ、『VOY@GER』!
*1:プレミアム公開時にはカウントダウンの映像がついてました。今公開されている動画ではカットされています。
*2:たしかに冒頭、「Welcome to the world of THE IDOLM@STER ! 」の文言とともにARグラスが登場しているのですが、ラストシーンになるまで、ライブ映像というよりは心象風景的なものだと思い込んで観ていました。